電波タイムス2023年新春インタビュー

劉震 総合トレーディングジャパン社長に聞く

総合トレーディングジャパン(GTJ、東京都千代田区、劉震社長)は、中国深センの大手通信機器メーカーHytera Communications Corporation Limited(Hytera /ハイテラ)の業務用デジタル自営無線通信機器やシステムならびにIP無線機器の国内周知活動の全権を同社から受託した総輸入販売元として国内認証取得、販売、保守等の事業を行っている。

劉社長は「電波タイムズ」の新春インタビューに応じ、同社とHytera社の2022年の回顧と、本年の抱負を語った。

「Hytalk」PoC無線&広域音声・ビデオ通話 サービスの拡販・周知く

2022年は、2021年末にリリースしたHytalk」PoC無線&広域音声・ビデオ通話サービスの販売と周知活動を行った1年でした。POC(ush-to-talk ver ellular)は、携帯電話のモバイルデータ通信ネットワークを介した音声・ビデオ通話サービスです。携帯電話のデータ通信網を利用しているので、日本全国との通信が、免許資格不要で可能です。また、通話はPTTボタンを押して行うので、今までの使い慣れた無線機と同じ感覚で利用できます。POC無線機『PNC380』の主な特長は以下のとおりです。

  • Simフリーで各通信キャリア4Gメイン周波数バンドをカバー。MNO、MVNO(格安Sim)も利用可能
  • 無線機としても携帯電話としても使用可能
  • キャリア回線とWi-Fiを自動切り換え可能
  • IP67、米国軍用規格MIL-STD-810G取得し、優れた耐久性、堅牢性
  • 4000mAh大容量電池 長時間運用可能
  • GPS対応し、クラウドのWEB動態管理サービスで位置情報の確認や、事務所と端末間の音声・ビデオ通話も可能
  • ボイスレコーダー、500万画像素リアカメラ、BlueTooth4.1BLE、マイクロSDカード対応、テザリング可能

PNC380』は、携帯電話、IP無線機、カメラ、ボイスレコーダーなどの様々な機能を1台に集約しており、従来のように複数の端末を携帯、操作しなければならない煩雑さからユーザー様を解放します。音声通話のみならず、リアルタイムでの遠隔ビデオ通話も可能にする『PNC380』は業務のあり方を、従来の複数端末を導入した場合のコストパフォーマンス比較という視点においても、一新させる製品になると考えております。

おかげさまで導入実績が徐々に増えてきており、各端末の現在GPS位置情報を把握しながら、端末カメラを通じて遠隔から現場の状況をリアルタイムかつ視覚的に確認、指示できるWeb動態管理サービス「Hytalkディスパッチ」もご好評いただいております。本年も引き続き、PNC380の拡販を目指し、お客様により導入しやすいプランの提案や周知活動に力を入れる所存です。

*Web動態管理サービス表示画面
左:端末の東京⇒京都移動履歴 右:端末のカメラが撮影している現場状況画面

本質安全防爆携帯無線機

プラント・石油コンビナートや化学・製薬工場、ガスの製造・備蓄施設、石油備蓄基地など、爆発性雰囲気の危険場所(Zone0~2)が施設内に存在し、そのエリアや周辺で通信するさいは、本安防爆構造の通信機器を使用する必要があると労働安全衛生法、消防法や電気事業法令で定めております。

国内唯一の本質安全防爆仕様の特定小電力無線機『PD798ExU()』は、2019年のリリース以来、ユーザー様より高い評価を頂戴しております。免許と無線従事者資格を取得することなく、防爆無線機を手軽に導入されたい、比較的小規模な防爆危険場所を有しているユーザー様のーズにお応えでき、昨年も多くのユーザー様に導入いただきました。

また、一般業務用タイプの防爆無線機についても、脱炭素化にむけた水素製造、貯蔵、輸送等の水素サプライチェーン構築にかかわる企業様からの問い合わせが増え、導入が進んでいます。水素社会実現に向けた社会的な取り組みに、弊社の商品が貢献できていることを大変嬉しく思います

2022年のHytera社のトピックス

昨年は多くの国際大型イベントでHytera社の通信システムが採用されました。その中でも特に大きなものを以下にご紹介します。

 1.北京2022年冬季オリンピック

2022年2月に北京で開催された冬期オリンピックでHyteraの各種業務用通信システムが採用されました。各会場の警備員や救助隊、運営スタッフやボランティアの通信サポートはもとより、広範におよぶ大会会場区域を全面的にカバーできるシステムで、遠く離れた部署やスタッフ間にも円滑な通信を提供しました。また、大会に合わせて新たに開通した、北京と屋外競技会場のある張家口間の高速鉄道にもHyteraの無線通信システムが導入されました。

2.2020年ドバイ国際博覧会

新型コロナウィルスの影響で1年延期し、2021年10月から2022年3月まで開かれていた2020年ドバイ国際展覧会(ドバイ万博)の運営管理チームの通信をサポートしました。また、オーストラリアやスイス、カザフスタンなどの多数のパピリオンや、エミレーツ航空などの組織でもHytera製品が利用され、円滑なコミュニケーションを実現しています。

*万博会場でHytera無線機器を使用するスタッフ

3.G20バリ・サミット、タイAPEC2022サミット

インドネシアのバリにて開催されたG20バリ・サミット、タイのバンコクで開かれたAPECサミットの重要な国際会議でもHyteraの通信システムが採用されました。会場やその周辺の警備・連絡、各国要人が利用する空港やホテルまで、広範囲に及ぶ通信業務を効率的にサポートしました。

*PoC無線を携帯するタイ警察関係者

4.カタールワールドカップ2022

 日本代表も活躍し皆様の記憶にも新しい、カタールで開催されたワールド2022の会場通信も、HyteraTETRADMR無線、PoC無線機が合計1万台以上導入されています。スタジアムやプレスセンター等、45箇所を超える大会施設はじめ、空港、地下鉄、トラム、バスといった輸送機関、ホテル等の宿泊施設に使用され、円滑な大会運営を実現させています。

*カタールワールドカップ2022でHytera無線機を使用するスタッフ

以上のように、昨年は世界各国で開催された、大型の国際イベントにおいて高品質な通信サービスを提供し、Hyteraの存在感を感じていただける1年となりました。

2023年の抱負

 現在、Hytera社の次世帯DMR業務用無線機Hシリーズを、本年度中のリリースを目指して準備中です。携帯型無線機の『HP708/788』は、国内初のAIノイズキャンセリング機能や、受信感度と送受信回路の最適化による通信範囲の拡大など、従来機種に比較してより進化した最先端の機種となっており、すでに工事設計認証を取得しているため、近日中に皆様にご案内できる予定です。ほか、車載機や中継器なども順次お届けできればと考えております。

*Hytera社Hシリーズ次世帯DMR業務用無線機

また、本質安全防爆無線機やPOC無線機をご利用のお客様から多く寄せられる声に、防爆仕様のPOC無線発売への期待があります。こちらは特にガス、水素等の化学物質を扱う危険エリアを有する企業様からご要望が多く、どうにかお応えできないか、Hytera社とともに取り組んでおります。

 昨今注目されている、音声や映像等を統合した非常通信ソリューションや、より進化した効率的な自営通信ネットワークの構築は、災害や緊急事態に迅速に対応し被害を未然に防ぐ、または被害を最小限にとどめるための要です。こうした高品質な通信システムを提供することは、私どもの任務であると考えており、本年もお客様の業務遂行に少しでも貢献できるよう、まい進する所存です。

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