年頭所感 2022年

劉震 総合トレーディングジャパン社長に聞く

総合トレーディングジャパン(GTJ、東京都千代田区、劉震社長)は、中国深センの大手通信機器メーカーHytera Communications Corporation Limited(Hytera /ハイテラ)の業務用デジタル自営通信機器の国内標準化、ならびに周知活動の全権を同社から受託した総輸入販売元として国内認証取得、販売、保守等の事業を行っている。

国内本質安全防爆(以下、本安防爆)構造電気機械器具型式検定合格品である、主力商品の携帯無線機『PD798Ex』が、全国の石油コンビナート・化学工場をはじめ、消防、防災分野などにも採用されている。また、この機種は防爆規格がEx ib IIC T4 Gbで、水素まで対応しているため、水素燃料を扱う新エネルギー分野などからの問合せや導入が増えている。Hytera製品の機能と品質は各方面で高い評価を受けており、防爆無線機以外の自営無線通信製品も、大型製造工場、野外レジャー施設や物流倉庫などへ導入が進んでいる。加えて、各製品とも高度な秘話機能を備えたセキュリティ性の高い無線通信が可能であるため、情報漏えい防止を重視するユーザーからの問い合わせも増えているという。

劉社長は「電波タイムズ」の新春インタビューに応じ、同社とHytera社の近況、さらに2022年の抱負を語った。

ニュージーランド五輪代表チームの無線機をサポート

昨年は東京2020オリンピックが大いに賑わいました。大会では様々な国のチームがHytera社の無線機を使用していました。その中で、弊社はニュージーランド五輪代表団のラグビー(Rugby)チームとボート(Rowing)チームのHytera製DMR無線機のサポートを行い、ニュージーランドから持ち込まれた両チームの無線機に、東京大会専用周波数へ調整、周囲の噪音カットのためのノイズキャンセリング機能の追加、無線機の防水性能チェックなど、トータルな保守・メンテナンスサービスを提供させて頂きましたラグビーチームは、東京スタジアム(東京都調布市)で行われた7人制ラグビーで女子が金メダル、男子は銀メダル、ボートチームは、海の森水上競技場(東京都江東区)で行われた競技で金メダル3つ・銀メダル2つを獲得する大変素晴らしい結果となりました。試合後、両チームのスタッフからは「試合や練習中、コーチからの指示、各担当スタッフ間の無線通信連絡に全く支障なく、とてもスムーズにコミュニケーションできました」とご評価を頂き、チームのサポートに貢献できたことを大変喜ばしく思います。

労働安全衛生法等法令義務化への対応

国内オンリーワンの特定小電力本質安全防爆携帯無線機

プラント・石油コンビナートや化学・製薬工場、ガスの製造・備蓄施設、石油備蓄基地など、爆発性雰囲気の危険場所(Zone0~2)が施設内に存在し、そのエリアや周辺で通信するさいは、本安防爆構造の通信機器を使用する必要があると労働安全衛生法、消防法や電気事業法令で定めております。

免許と無線従事者資格を取得することなく、より簡単に本安防爆無線機を導入できる特定小電力(以下、特小)防爆携帯無線機『PD798ExU(1)』はリリース以来、比較的小規模な防爆危険場所を有しているお客様への導入実績を順調に伸ばしています。免許資格不要で導入が容易であること、出力が低い特小無線機であるため、施設内の計器など精密機器への影響がほとんどない点、DMRデジタル変調技術によるセキュリティ性の高い通信性、周囲の噪音をカットし音声のみをクリアに伝えるノイズキャンセリング機能などに、多くのご好評を様々な分野のユーザー様から頂いております。

「Hytalk」PoC無線&広域音声・ビデオ通信サービス

PoC(ush-to-talk ver ellular)無線は、携帯電話のモバイルデータ通信ネットワークを介した、より広い通信範囲をカバーした音声・ビデオ通話サービスです。携帯電話のデータ通信網を利用していますが、その通信圏外でもWi-Fi環境に簡単に接続でき、通話不能になる心配がありません。また、PoC無線のほか、携帯電話、ビデオ通話、カメラ、ボイスレコーダーなど様々な機能が1台に集約しており、従来のように複数の端末を携帯、操作しなければならない煩雑さからユーザー様を解放します。そして必要な機能が1台にすべて備わることで、費用対効果のコストパフォーマンスも非常に優れているといえるでしょう。モバイルデータ通信ネットワークを利用するので、資格と免許はもちろん不要です。この製品は多くの点で従来のものとは異なっており、ユーザー様の業務のあり方を一新させるものだと確信しております。おかげさまで昨年4月のリリース以来、高い利便性や業界最安水準の利用料金から、多くのお問い合わせをいただき、導入も着実に進んでいます。

昨年の世界各国でのHytera社のトピックス
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1.ハンガリー

ハンガリーの首都ブダペストにおいて、LTE&PMRマルチモード端末、PoC無線端末やウェアラブルカメラLTE端末を含めたPSーLTEミッションクリティカルシステムの総合通信実験が完了しました。ハンガリー全国の公共安全ネットワークは今後PS-LTEミッションクリティカルシステムへシフトします。

2.ペルー

ペルー空港商業航空公社(CORPAC S.A.)にDMR無線システムが導入されました。最先端のDMRソリューションは、携帯・車載無線機、IPベースの中継器、Smart Dispatch統合指令・動態管理システムで構成されています。このシステムの柔軟性と拡張性により、CORPAC公社が管理するペルー国内15の空港は相互に接続され、全国ネットワークとしての運用が可能になることでリソース配分を最適化します。これにより、安定的で高品質な通信サービスが保証され、空港オペレーション安全基準や、空港各種業務の効率化を飛躍的に向上できます。

3.その他

国連生物多様性会議(COP15)、北マケドニア共和国内務省、スペインアラゴン州、トルコ電力、アルゼンチン警察、深セン地下鉄などに業務用通信システムを納入しました。

以上のように、Hytera社製品の高い品質と技術力、サービスが認められ、世界各国の大規模インフラ、公共安全などの場に相次いで導入が進んでいます。 

2022年の抱負

今まで弊社は、多くのプロユーザーの皆様に対し、デジタル・アナログ業務用無線を中心とする最先端技術を集結した自営無線通信製品を供給してまいりました。高品質な製品、堅牢性からの安心感、導入時の利便性、最新のデジタル管理指令システムによる運営効率化の実現など、昨年度お客様からよせられた高い評価を本年もまた頂けるよう、皆様がご満足できる製品を供給する自営無線通信の総合ソリューションプロバイダとして、さらに進化していかなければと考えております。 一昨年からの新型コロナウィルス感染拡大は、世界中の人々の生活、社会のシステムに大きな影響を及ぼしています。感染症により亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げます。いまだに収束が見えない中、感染拡大のリスクを少しでも避けるため、製造現場などでは「リアルタイムで現場が見える」無線通信機器の可視化通話機能が注目を集めています。対面の機会が減っても業務上のコミュニケーションは正確に行いたいというお客様のご要望に、我々はPoC無線のビデオ通話機能などでお答えできると考えております。また、多発する自然災害やテロなどの緊急事態に、スピーディに対応できる自営通信ネットワークの構築や、音声映像等を統合した非常通信ソリューションが大きく注目されています。このような背景を踏まえ、より進化した非常通信手段を提供する事は喫緊の課題であり、我々も今後もさまざまな取り組みや検討を行ってまいります。

Hytera社におきましても、LTE―PMR自営ハイブリッド通信システムやプライベートLTEと狭帯域無線通信を融合させた端末に、昨年は5Gプロフェッショナル通信ソリューションも発表しました。

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弊社は最新の自営非常通信ソリューションをタイムリーかつ的確にお客様にご紹介し、お客様の業務遂行を少しでもサポートできるよう、今年もまい進していく所存です。

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